9月4〜5日の一泊二日で、栃木県に小旅行に行ってきました。
目的は、IKURU DESIGNの須藤さんの工房を訪問すること。

以前から須藤さんの活動に興味があったのですが、今回の訪問でとても有意義な体験ができました。忘れないうちにまとめておきます。


IKURU DESIGN – 須藤 生 さんについて

簡単にご紹介。
詳しくは、IKURU DESIGNにてプロフィールなどをご覧になることをお勧めします。学校のことや作品など、いろいろな情報が掲載されています。

IKURU DESIGN株式会社 – 須藤 生 さん

2000年頃からスウェーデンに留学。
木工の学校では最高峰とも言われる、カールマルムステンCTD、カペラゴーデンで家具製作を学び、スウェーデンの家具職人資格などを取得。

2009年、日本に帰国。

2010年、IKURU DESIGN株式会社を設立。

スウェーデンで家具職人になる!

著書:スウェーデンで家具職人になる!
スウェーデンの学校についてのレポートや家具の製作過程が、ご自身で撮影された写真と共に紹介されています。興味のある方は、ぜひご覧ください。

スウェーデンで家具職人になる!
須藤 生 著
早川書房
税込¥1,890

スウェーデンでの経験や外国製の機械を導入した日本ではあまり見られない製作スタイルなど……家具製作をする人間として、気になることがたくさんあったので、今回の訪問はとても勉強になりました。

(ちなみに、今のところ工房見学はほとんど受け入れていないそうですが、今回は特別に見学させていただける事になりました)

主な工房設備

ここらへんは、須藤さんのブログでも紹介されていますので、簡単に。

まず、とても広い工房で驚きました。以前は工場だった建物だそうで、家具工房としては最適な環境だと思います(夏場はけっこう暑いらしいですが…)。

機械は、フェルダーの大型機械と、フェスツールの電動工具が主で、ほとんど外国製でした。日本では、危険な機械として避けられることも多い「面取り盤」や、横軸のボール盤と角ノミを合わせたような機械もありました。

特徴的だったのは、エアー式プレス機(正式名称はなんだろう)。

布団圧縮袋みたいに空気を抜くことで、プレスするという仕組みです。

写真のように、メス型が不要だったり、ズレが少なかったり、乾燥が早かったりといろいろな利点があるようです。

外国製の機械

説明してもらった機械の特徴などです。
僕が見た部分だけなので、この他にもいろいろな要素があると思いますが。

FESTOOLの電動工具について

フェスツール同盟というものを勝手に作っているほど、フェスツールに熱い須藤さん。

セールストークでなく、実際に使っている感想だけでも良いことずくめのようです。
たしかに、実際見ていると感心することばかり。

フェスツールの電動工具は、もともと気になっていたのですが、実際に見て、触れて、須藤さんの「こういうものが本当のプロの道具という言葉を聞いて、完璧に気に入りました。

価格は、日本製の同じクラスと比較すると、少し高めではありますが、付属品などを考えるとさほど変わりがないように感じます。

とりあえず、新しく買う電動工具は、フェスツールで決定です。

外観

  • シンプル
  • スイッチ、つまみ類が全機種おなじ黄緑色で統一されている
  • 機能に沿った無駄のない形(使うときの重心や持ち手の位置も考えられている)
  • 物によってはけっこう小型

個人的には国産の電動工具のデザインより好み。
操作するときの、カチャカチャッという動きなど、ギミックもかっこいいです。

機能性

  • セッティングが簡単(特にルーターのセッティングを見て感動)
  • 便利な使えるアクセサリーが太っ腹に標準付属
  • 集塵が完璧(サンダーはマスク不要なほどだそう)
    • 集塵機は機械と連動する(他社製の機械でも連動していた)
  • システマチック
    • 集塵ホース・電源コードの共有
    • ガイド(定規)の共有
    • 収納ケースが規格化されている
  • モーター音が小さい
  • 基本的にメンテナンスフリー・細かい部品まで交換可
  • その他、須藤さんも全て把握していないほど、いろいろな気配り

安全性

安定性・操作性が良いので、必然的に安全性も高いでしょう。

ドミノについて

FESTOOL独自のジョイントシステム。 
新しい道具なので、具体的な使用例などを実際に見せてもらうことで、とても参考になりました。

  • 操作としては、ビスケットカッターに近い
  • ほぞを作るより簡単で速い(特に傾斜付きの場合)
  • 試作品などで便利
  • 本番の作品(例えば、椅子でも)に十分使える接合強度
  • ドミノチップにぴったりな穴のほか「あそび」をつけることもできる

Felderの機械について

フェルダーに限らず、外国製の機械は価格が高いので、なかなか手が届かないと思われがちですが、安全性・作業時間の短縮などを考えると、検討する余地はありそうです。

少なくとも、国産の新品を買うなら、フェルダーでもいいかもと思わされます。

外観

  • シンプルなデザイン
  • スイッチや、目盛りなどは見やすい表示

木工機械に見た目は関係ない、という声もありますが、どうせならかっこいいほうがいいとは思いますね。また、表示類が見やすいほうがいいのは当然です。

機能性

機械を使うときに、無駄に頑張らなくてもいいように、いろいろと工夫がされています。

  • 横切りのスライドが軽い(重い材料でもらく)
  • セッティングが簡単(カンナ類は、替刃式で調整不要)
  • テーブルソーは作業に合わせ、定規を移動したり、高さを変えたりできる
  • 基本的にメンテナンスフリー(注油口もない)

安全性

作業性がそこなわれないようにしつつ、安全性が高められています。
木工機械にとって、精度と安全性は一番大事なところです。

  • スイッチはON/OFFがはっきり見分けられ、いざという時は瞬時に切れる。逆に、ONにするときは、あえて少し面倒な構造になっている。
    • 自動カンナは、背面にもスイッチがあり他の作業者が切れるようになっている
  • 刃物の交換をするためにカバーを開けると、電源が遮断される(誤動作防止)
  • 安全装置が適切に機能する(丸のこの割り刃は、刃の上下・傾斜に追従する、自動カンナのカバーも邪魔にならずに、安全性を確保できる、など)

お話の中から

なるほど、と思ったこと。共感したことなど。
記憶なのでちょっと脚色気味ですが、ニュアンスは合っていると思います。

機械について

  • 効率を考えて、機械でギリギリまで攻めて、手で仕上げ。機械で仕上がるならそれでも良いのでは。というスタンス
  • 少なくとも怪我は、自慢にはならない
  • イヤーマフはちゃんと着けましょう

デザイン

  • ウェグナーなど(日本でよく見る北欧デザイン)の家具は、工業生産が前提なので、個人製作の家具とはちょっと違うところもある
  • 模型はあまり作らない。どちらかというと試作品を作って確認する。CAD、スケッチなどでも、自分で完成形をイメージできれば良いのでは

学校のこと

  • 先生は、その人がやりたいことをサポートしてくれる役目。先生の評価に縛られない発想ができる
  • 逆に、自分から「こんなことをしたい」と言わないで、指示を待っていても、教えてくれない
  • マルムステンでは、機械の事故はなかった(意識の違い?)

合板(突き板)

  • 日本では、安いイメージだけど、きちんと作れば立派な家具。以前は自分もそうだったが、スウェーデンで意識が変わった
  • 変形などを考えると、板物などでは有利。利点も多い素材
  • 接着は普通のボンド・塗装はオスモ(これはちょっと意外。耐水性は問題ないそう)

その他

  • 北欧では、日本のような個人の家具職人は少ない(市場が違う)
  • どんなに良い仕事でも、人脈がなければ売れない
  • ネットを活用して発信していくことが必要。ブログだけでなく、どんな人でどんな作品を作るのか、わかるといい(会う前の印象が違う)

おわりに

他の工房とは違う設備関係の話が多くなりましたが、外国製の機械の、操作性、安全性に対するこだわりを実感できました。カタログを見れば、分かるような事ではありますが、実際に使っている方のお話を聞くと説得力があります。

このほか、工房の運用についてや、ちょっと逸れてMacやカメラの話まで、色々と話題が広がり、とても楽しい時間をすごせました。ありがとうございました。